エスポワールシチーの次走は予定通り2月19日 東京11R 第29回 フェブラリーS GⅠ ダート1600m 国際です。
前走GⅢでも勝てなかったように、往年の強さは見られず、GⅠで勝負になるのかと言われそうですが、衰えたとは言っても昨年のジャパンカッブダートGⅠも3着に粘りました。2着のワンダーアキュートとはハナ差です(あちらは出遅れたりと随分ロスがありましたが)。
今回もメンバー構成から勝ち負けは無理でしょうが(もちろん勝って欲しいですが、トランセンドとの力差は歴然)、3着くらいには入れそうです。
いつも書いていますが、中央のGⅠでの3着は本当に賞金が高く、オープン勝ち程度の賞金があります。馬主としてはそれでも充分に黒字収支です。ここは絶対に出たいところです。
以下は2月6日にJRA公式HPで発表されたフェブラリーステークス(GⅠ)に特別登録した馬のレーティング順位(110以上)です。日本馬(中央馬・地方馬)のレーティング順位表
出馬投票を行なう馬のうち、レーティング順位の上位5頭は他の馬より優先して出走できます。
順 位 | 馬 名 | レーティング | 備 考 |
1 | トランセンド | 121 | |
2 | ワンダーアキュート | 115 | |
3 | エスポワールシチー | 115 | |
4 | ダノンカモン | 115 | |
5 | シルクフォーチュン | 114 | |
6 | テスタマッタ | 112 | |
7 | グランプリボス | 112 | |
8 | スマイルジャック | 112 | |
9 | セイクリムズン | 111 |
(1) | レーティング順位については、過去1年間のオープン競走で、110ポンド(牝馬については106)以上のレーティングを得た馬を対象としています。 |
(2) | 牝馬については、4ポンドを加算して順位を決定しています。 |
(3) | 同レーティングの馬については、近走成績・距離実績等を総合的に勘案して順位を付しています。 |
(4) | その他、馬場、近走成績、距離実績等を総合的に勘案し、レーティングを修正することがあります。その結果、レーティングが110ポンド(牝馬については106)未満となった場合には、レーティング順位の対象とはなりません。 |
(5) | レーティング順位発表後、2月14日(火)までのレースに出走した場合、その結果によりレーティング順位が変わることがあります。 |
ということで、我らが愛馬エスポワールシチーはついに本格化を迎えたワンダーアキュートにも抜かれて出走馬柱レーティング3位。それでもこれだけでも出走確定ラインに余裕で入っています。
ダノンカモンとも同じレーティングですが、以前先着を許した切りで、仕方がないですね。その程度の実力だと思います。あちらは全盛期、こちらは初老ですからねぇ。エスポもいつまでも良く頑張ってくれていると思います。
馬名 | 予定騎手 | 斤量 | 前走 | 前走着順 | 前走人気 | 過去着順 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トランセンド | 藤田伸二 | 57.0 | 12/04 JCD GⅠ | 阪神ダ1800 | 1 | 1 | 2 | 1 | 2 |
エスポワールシチー | 武豊 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 2 | 1 | 3 | 1 | 4 |
グランプリボス | 内田博幸 | 57.0 | 12/17 阪神 GⅡ | 阪神芝1400 | 2 | 5 | 13 | 8 | 8 |
ワンダーアキュート | 和田竜二 | 57.0 | 12/29 東京JpnⅠ | 大井ダ2000 | 2 | 3 | 2 | 4 | 1 |
セイクリムズン | 吉田隼人 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 6 | 3 | 2 | 5 | 2 |
ダノンカモン | 福永祐一 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 5 | 1 | 5 | 2 | 2 |
ナイキマドリード | 戸崎圭太 | 57.0 | 1/11 船橋 OP | 船橋ダ1000 | 1 | 1 | 1 | 8 | 6 |
ヤマニンキングリー | C.デムーロ | 57.0 | 12/29 東京JpnⅠ | 大井ダ2000 | 6 | 2 | 7 | 1 | 4 |
シルクフォーチュン | 藤岡康太 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 1 | 4 | 3 | 9 | 3 |
ライブコンサート | 蛯名正義 | 57.0 | 1/05 金杯 GⅢ | 京都芝1600 | 12 | 12 | 10 | 9 | 18 |
テスタマッタ | 岩田康誠 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 3 | 5 | 3 | 12 | 7 |
スマイルジャック | 横山典弘 | 57.0 | 2/05 東京 GⅢ | 東京芝1600 | 16 | 10 | 15 | 11 | 3 |
トウショウカズン | 川田将雅 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 2 | 9 | 1 | 1 | 7 |
ヒラボクキング | 藤岡佑介 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 1 | 10 | 5 | 1 | 1 |
トウショウフリーク | 池添謙一 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 7 | 3 | 15 | 2 | 1 |
タガノロックオン | 田辺裕信 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 10 | 4 | 1 | 4 | 1 |
以下除外対象馬 | |||||||||
ケイアイテンジン | 57.0 | 2/04 すばるOP | 京都ダ1200 | 1 | 4 | 3 | 6 | 1 | |
ヒラボクワイルド | 幸英明 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 12 | 2 | 1 | 5 | 7 |
エベレストオー | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 止 | 16 | 8 | 1 | 4 | |
シルクシュナイダー | 後藤浩輝 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 3 | 6 | 1 | 1 | 4 |
ナニハトモアレ | 57.0 | 12/18 ギャラ OP | 阪神ダ1400 | 5 | 4 | 2 | 2 | 6 | |
レッドヴァンクール | 57.0 | 1/05 初日 16下 | 中山ダ1200 | 7 | 5 | 1 | 8 | 6 |
今回のエスポワールシチーの鞍上は落馬負傷の佐藤哲三騎手に替わって日本の至宝・武豊騎手です。
通常ダート界では武豊騎手はスマートファルコンやカネヒキリ、ラヴェリータに騎乗しもっぱらエスポの敵でした。思えば初めてGⅠに出走した3年前は武豊騎乗のカネヒキリに最後交わされ馬券圏内を逃し王者の実力を見せつけられ、しかし続くかしわ記念ではそのカネヒキリを打ち破ったものの、ラヴェリータでは3連覇を狙ったかしわ記念で上手く乗られてフリオーソに次ぐ2着の座を奪われ3着に、そして昨年の帝王賞ではスマートファルコンに大差をつけられ完敗と嫌な思い出がたくさんあります。しかし、そのどれをとっても、武豊の存在は大きく、以前に比べて衰えを感じるものの、上手く乗られると多少能力の低い馬でも上位に持って来ます。
今回エスポに期待するのはそこですが、やはり1番人気確定のトランセンドとは現在の能力においてエスポとは大きな差があります。またワンダーアキュートも5歳と若く本格化の時を迎えています。
これらの強豪を抑え、エスポをウイニングロードに・・・って、やはりいくら武豊騎手でも無理ですよね。逃げてくれれば抜群に上手く、いいペースで逃げてくれますが、トランセンドの藤田伸二騎手も当然その辺りはわかっておられますし。
ほっさん愛馬での騎乗は過去3回です。うち2勝を挙げていただいており、絶妙なペース配分で勝ったディヴァインシチーや、ペースを読み切って早目に動いたダブルダンスシチーなど、素晴らしい騎乗をしていただきました。
しかし、ステップシチーでは勝負どころで包まれて出る所がなく、脚を余して大敗。人間なので仕方ないですが、歯がゆい思いをしたことがあります。
また、私は以前、武豊騎乗というだけで馬券の対象から外していました。これは過剰な人気から馬の能力を超えて支持が集まるもので、穴党の私としては安すぎるオッズの馬券は興味がなく(そんなことを言っているので損をすることが多いのですが)、外しては来られ、また、たまにこれは仕方ないなと珍しく武豊騎乗馬を購入するとぶっ飛びとそんな印象です。あくまでも個人の勝手な印象ですが(笑)。
ただ、愛馬に乗っていただけるとなると、その週はずっとワクワクしますね。そういう大きな存在です。
2012年2月7日現在、中央通算3453勝、勝率20.3パーセント、連対率34.7パーセント、GⅠ65勝、重賞273勝と圧倒的な数字で他の追随を許さない(詳細は以下に記載)。しかし、毎日杯で大きな怪我を負ってからのここ数年はピーク時ほどの成績はなく、昨年(2011年)は64勝、勝率10.1パーセント、連対率21.1パーセントと全盛期の半分程度。ついに中央でのGⅠ勝ちもなかった。
武 豊(たけ ゆたか)は1969年3月15日生まれの42歳。日本中央競馬会(JRA)栗東トレーニングセンター所属の26年目の騎手である。騎手免許は平地のみ。デビュー当時は武田作十郎厩舎所属だったが、92年に武田厩舎が解散してフリーになり現在に至る。身長170.5cm、体重51kg。血液型O型。京都府京都市伏見区淀(本人公式サイトでは滋賀県)出身。妻は元タレントの佐野量子。
父・武邦彦は元騎手・元調教師で、騎手時代に”ターフの魔術師”の異名をとった。弟の幸四郎は現役の騎手。武宏平調教師はいとこ、武英智騎手ははとこにあたる。
1987年の騎手デビュー以降、JRAにおいて数々の記録を更新し「天才」と呼ばれることも多い。2010年4月12日に日本騎手クラブの東西役員総会で柴田善臣の後任として会長に選出され、同年9月16日に就任した。
1987年、栗東・武田作十郎厩舎所属でデビュー。主な同期は蛯名正義騎手。初騎乗は3月1日1回阪神2日目第4競走アグネスディクター(2着)。初勝利は、3月7日1回阪神3日第2競走のダイナビショップ。加賀武見の持っていた新人記録の58勝を上回る69勝を挙げた(この記録は2008に三浦皇成によって21年ぶりに更新された)。
中京記念でマチカネイシンに騎乗し、重賞初騎乗(5着)。京都大賞典でトウカイローマンに騎乗し、重賞初勝利。菊花賞・ジャパンカップに新人として初めて騎乗。
1988年、4月16日に史上最年少(19歳1ヶ月)でJRA通算100勝達成。(史上最速100勝記録は2009年2月7日に三浦皇成が更新)。
菊花賞でスーパークリークに騎乗し初GⅠ勝利にして史上最年少(19歳8ヶ月)でクラシック制覇。
1989年、3月4日に史上最速・最年少(19歳11ヶ月)でJRA通算200勝達成。11月25日に史上最速・最年少(20歳8ヶ月)でJRA通算300勝達成。この年は133勝を挙げ、自身初の全国リーディングジョッキーとなる。
1991年、7月21日に史上最速・最年少(22歳4ヶ月)でJRA通算500勝達成。
アメリカ・サラトガ競馬場のセネカハンディキャップ(GⅢ)でEl Senor(エルセニョール)に騎乗し、初めての海外グレード競走(およびグループ競走)制覇。
天皇賞・秋でメジロマックイーンに騎乗し1位入線するも、進路妨害で18着に降着となる。GⅠ競走での1位入線馬に対する降着処分は史上初めて。
1992年、武田作十郎調教師の定年による厩舎解散に伴い、フリー転向。天皇賞(春)でメジロマックイーンに騎乗し、史上初の同一競走4連覇を達成。
1993年、桜花賞(ベガ)・皐月賞(ナリタタイシン)・優駿牝馬(ベガ)と春のクラシックを3連覇。
1994年、フランス・ロンシャン競馬場のムーラン・ド・ロンシャン賞でスキーパラダイスに騎乗し、JRA所属の騎手としては初めての海外GⅠ勝利。
1995年、7月23日に史上最速・最年少(26歳4ヶ月)でJRA通算1000勝を武邦彦管理馬のエールノコイビトで達成。
1996年、2月10日の京都競馬第8競走で勝利し、1999年9月5日に途絶えるまでの騎乗機会連続週勝利の開始。
1997年、北九州記念でダンディコマンドで優勝し、史上最速・最年少(28歳4ヶ月)でJRA重賞通算100勝達成。函館3歳ステークスでアグネスワールドに騎乗、史上2人目の中央競馬全10場重賞制覇達成。
この年は初めて騎手主要3タイトルを総なめにし、史上2人目の騎手大賞を受賞。
1998年、6月7日、東京優駿(日本ダービー)でスペシャルウィークに騎乗。東京優駿を初制覇を果たすとともに保田隆芳以来30年ぶり史上2人目となる八大競走完全制覇達成。
8月9日、フランス・ドーヴィル競馬場のモーリス・ド・ゲスト賞でシーキングザパールに騎乗し、日本調教馬初の海外GⅠ制覇に導く。
1999年、6月6日、東京優駿(日本ダービー)でアドマイヤベガに騎乗、史上初となる日本ダービー連覇達成。8月22日の札幌競馬第1競走で勝利し、1996年2月10日から続く騎乗機会169週連続勝利達成。
2000年、7月13日、ジュライカップをアグネスワールドで勝利し、近代競馬の発祥地英国での初GⅠ制覇。
2001年、フランスを拠点とし長期海外遠征を敢行。そのため、前年まで9年連続、また2002年以降も保持し続けているリーディングジョッキーの座を蛯名正義に譲ることとなる。
2002年、5月26日、東京優駿(日本ダービー)でタニノギムレットに騎乗、史上初となる東京優駿(日本ダービー)3勝目。9月21日、に史上最速・最年少(33歳6ヶ月)でのJRA通算2000勝達成。12月7日、阪神競馬場にてJRA新記録、世界タイ・レコードとなる1日8勝を記録。
2003年、JRA史上初の年間200勝達成(最終的には204勝)。年間通じて、JRA・地方における全GⅠに騎乗。騎手としては初めて東京競馬記者クラブ賞・関西競馬記者クラブ賞を同時受賞。
2004年、11月14日にエリザベス女王杯でアドマイヤグルーヴに騎乗、史上初となる同競走4連覇達成。12月8日、海外通算100勝を達成。12月12日、中央競馬史上初の2年連続で年間200勝を達成、前年に自ら記録した204勝の年間最多勝利記録を更新する211勝。
2005年、2月26日、アーリントンカップにビッグプラネットで優勝し、中央競馬史上初の重賞競走通算200勝を達成。5月29日、東京優駿(日本ダービー)でディープインパクトに騎乗し東京優駿(日本ダービー)4勝目。また同競走により、年間100勝最速記録を更新。9月4日、小倉2歳ステークスをアルーリングボイスで優勝。史上初の同一年小倉開催平地重賞完全制覇達成。9月24日、、1日の騎乗機会6連勝のJRA新記録を達成。
10月23日、ディープインパクトの三冠(史上2頭目の無敗三冠)達成で自身も初の同一馬による三冠ジョッキー。11月26日、ジャパンカップダートにカネヒキリに騎乗して優勝、JRAのGⅠ年間6勝の新記録達成(地方交流統一GⅠを含めると年間10勝の日本記録を達成)。12月18日、阪神牝馬ステークスにアドマイヤグルーヴに騎乗して優勝し、年間重賞勝利23勝とし、自らの記録を上回る新記録を樹立。年間勝利数を212とし、前年の自らの最多勝記録を更新。
2006年、ディープインパクトに騎乗して第85回凱旋門賞に出走。1番人気で3位入線するも、のちに馬は失格処分となる。
2007年、7月21日、JRA歴代最多勝記録2944勝(これまでの記録は岡部幸雄の2943勝)を更新、小倉ターフ賞も初受賞した。11月3日、京都競馬第1競走で史上初となるJRA通算3000勝を達成(38歳7ヶ月)。3年ぶり8度目となる関西競馬記者クラブ賞を受賞。
2008年、5月10日、京都競馬場における通算1000勝を達成。11月2日、天皇賞(秋)競走をウオッカで勝利し天皇賞通算11勝目を挙げ、それまでの最多記録保持者であった保田隆芳を抜いた。
11月3日、JBCクラシックをヴァーミリアンで勝利し、前日の天皇賞(秋)の勝利とあわせ日本人騎手では初となる2日連続GⅠ・JpnⅠ勝利という快挙を達成。
2009年、6月27日、阪神競馬場における通算1000勝を達成。近年の地方トップ騎手の中央移籍等による騎手リーディング競争激化から、長期海外遠征していた2001年を除きおよそ16年間保持し続けてきた最多勝利騎手の座を内田博幸に明け渡す。
2010年、3月27日、毎日杯でザタイキに騎乗し落馬。重傷を負い、4ヶ月間の休養。このため、18年ぶりに東京優駿に騎乗できなかった。11月3日、JBCクラシックでスマートファルコンに騎乗し勝利。騎手として同競走4年連続優勝(前3年はヴァーミリアンで3連覇)。11月28日、ローズキングダムでジャパンカップを制し、デビュー2年目から続く23年連続JRA・GⅠ制覇を達成した。
この年は怪我による長期離脱が響いて、騎手主要3タイトルを全て受賞できず、長期海外遠征の2001年を除きおよそ17年連続クリアしてきた中央成績100勝達成も出来ず、69勝にとどまった。
デビュー当時「武邦彦の息子」と言われたことに発奮し「武邦彦の息子ではなく、父のことを『武豊の父』と言わせてみせます」と発言した。2009年3月に行われた父の調教師引退パーティーでは「あなたの息子で光栄でした」とスピーチし、感謝の言葉を述べていた。
最も多く勝った重賞は阪神大賞典の8勝。春秋を合わせた天皇賞11勝(春6勝 秋5勝)は単独1位。一方でマイルチャンピオンシップとは相性が悪く、関西のGⅠで唯一未勝利である(関東では朝日杯フューチュリティーステークスが未勝利)。
2002年に死んだサンデーサイレンスのたてがみをお守りとして財布の中に入れている。
2005年3月20日に行われた岡部幸雄騎手の引退セレモニーで、「数々の記録を破ってすいませんでした」との発言をし場内を沸かせていた。
競馬学校の2年先輩である石橋守を敬愛していて行動をともにすることがよくある。調教師の池江泰寿とは小学校および中学校の同級生で幼馴染である。
「10年の3月27日に阪神で落馬し、左鎖骨遠位端骨折、腰椎横突起骨折、右前腕裂創という大ケガを負った。馬上で必要以上のアクションはとらず、ムダなくスマートに馬を伸ばす。若い頃は好位から運ぶことが多かったが、トゥザヴィクトリーでエリザベス女王杯を追い込んで勝った01年の頃からタメて末脚を活かす競馬が増えた。近年は腰を悪くしており、パワーや馬群の捌きが少し甘くなっている印象を受ける。周りを見ながら落ち着いて騎乗しており、見ている者に与える安心感は彼独特のものだ。コース別、距離別、芝・ダート別で目立った偏りはない。武豊の逃げに競りかける者は少なく、逃げが想定される状況では狙い目になる。逃げた時の連対率は07年が.677と高率で、08年以降もずっと5割を上回っている。取材に対しては非常に丁寧。自分の思いが間違ったニュアンスで伝えられると取材拒否をすることがある。悪いことは言わないので、馬券の参考になるかは微妙だ。」(佐藤祐樹元地方競馬騎手・2011年著)
「腕力がなくなったか、手をこねくる感じで馬を前に出せていない。首の上げ下げに対してタイミング良く押してはいる。反射神経の衰えも深刻だ。事前に混雑を回避したり、スペースのあるところにサッと入ることができず、右往左往して何もできずに終わるケースが多い。2011年のクレバートウショウの京王杯スプリングC(5着)と安田記念(4着)の捌きはヒドいものだった。そんな騎乗のあとでも「スペースがなかったね」といった感じで自分の非を認めるコメントは出さない。これは昔からである。2011年の1番人気馬での成績は[20・7・13・39]の勝率.253、連対率.342。穴馬を勝たせるケースは少ない(単勝回収率は55パーセント)。自然と流れに乗る形になればもちろん結果は出せて、意地で重賞を5つ勝った。有力厩舎が積極的に起用することはなくなり、2011年に最も騎乗数が多いのは美浦の小島太厩舎となっている。それでも注目されるのが武豊。必要以上に人気になって2011年の平均人気は4.5で、平均着順は6.6と2以上も数字を落としている。ミスが多い上に配当効率が悪いのだから、もはや買えるジョッキーではない。」(佐藤祐樹元地方競馬騎手・2012年著)
ほっさん愛馬での成績 (3戦2勝)
2007年 6月10日 ディヴァインシチー 3歳500万下 東京ダ1600m 1着/1番人気
2007年10月27日 ステップシチー 500万下 京都芝2000m 6着/3番人気
2008年 1月20日 ダブルダンスシチー 500万下 京都ダ1800m 1着/1番人気
2012年1月22日 平安ステークス GⅢ でレーザーバレットに騎乗する武豊騎手
前走前 1月18日 栗東CW 良馬場 馬なり伸びる
佐藤哲三
6F 82.9
5F 66.3
4F 51.7
3F 37.5
1F 11.5[8]
2月5日 栗東坂路 良馬場 馬なり余力
1回
助手
4F 56.9
3F 40.4
2F 26.1
1F 12.6
2月9日 栗東坂路 重馬場 強めに追う
1回
武豊
4F 53.2
3F 39.1
2F 26.1
1F 13.1
2月12日 栗東坂路 良馬場 馬なり余力
1回
助手
4F 59.5
3F 43.1
2F 28.0
1F 13.5
2月15日 栗東CW 重馬場 稍一杯に追う
武豊
6F 83.7
5F 67.5
4F 53.1
3F 39.4
1F 12.4[7]
2月5日、次走フェブラリーSに向けて追い切りをはじめられています。しかし、安達昭夫調教師によりますと、以前よりも疲労が抜けにくくなったということで、軽めの調整になっていくのでしょうか。年齢的なものもありますし、仕方がないですね。ずっと一線級でやってきたわけですし。
2月9日、ついに今回騎乗していただく武豊騎手にまたがって貰い、追い切りました。馬場状態が非常に悪く、いつものエスポと思えない時計ですが、これでも水木のベスト10位に入る好時計です。
以下は同日のデイリー馬三郎の記事です。
新コンビを組む武豊を背に、エスポワールシチーは栗東坂路へ。軽快なステップで駆け上がり、4F53秒2-39秒1-13秒1を馬なりでマークした。この日の栗東はいてつくような寒さで、朝一番の坂路は「重いというよりも滑る」と名手が表現するコンディション。それを踏まえれば、時計、動きともに上出来と言えるだろう。
ファーストコンタクトを終えて、開口一番は「緊張した。有名な馬やしね」とユタカスマイル。手綱から伝わる感触に「さすがやね。すごくバランスのいい走りをする。乗りやすかったし、頭がいいよ。よく調教されている」と賛辞を並べた。
主戦の佐藤哲が負傷のため、突如、舞い込んだGⅠ獲りのチャンス。「代打ですけどね。いい仕事はしたいと思っている。一緒にレースをしてきたし、強さは分かっているから」。2008年ヴァーミリアン以来のVへ、静かに闘志を燃やしている。
ということで、多少のリップサービスもあるでしょうが、武豊騎手にいいことを言ってくれると嬉しいですね。
2月12日、15-15-14-14程度で追い切られました。順調で何よりです。水曜日にある程度やって遠征ですね。
2月15日、今回騎乗していただく武豊騎手を背に強めに追い切られました。エスポにしては全体の時計を要していますが、この日は全体的に時計がかかっており、全体の5番目の時計といつものように非常に優秀です。
私ほっさんの追い切り評価は「A-」です。全盛期ほどではありませんが、まだまだGⅠ級の素晴らしい動きと思います。
以下は同日のデイリー馬三郎の記事です。
一昨年の覇者エスポワールシチーが、新コンピを組む武豊を背に躍動した。栗東CWで単走。長めから追われて6F83秒9-37秒6-12秒7の時計に、鞍上は「長めから上がりを伸ばしてという指示だったが、大きなストライドで走っていたし、あらためてさすがだなと思った」とGⅠ5勝馬の動きに感嘆の声を上げた。
この動きに安達師も納得の表情だ。「重い馬場にもノメらず、しっかり走っていた。(勝った)おととしとの比較は難しいけど、いい調整ができたし、同じぐらいの状態で出せる」とうなづいた。
主戦の佐藤哲が4日の京都10Rで入線後に落馬して骨折。代役として白羽の矢が立ったのが、フェブラリーS3勝を含め、統一ダートGⅠ歴代トップ32勝を挙げる武豊だった。「名コンビの代打。ブレッシャーはあるが、これだけの馬の鞍上に指名されたので頑張りたい」と意気込む。
父ゴールドアリュールに騎乗して03年の同レースを制覇。因縁めいたものを感じる。「似た感じはある。思い出すよ」とダートで無類の強さを誇った父の姿に重ね合わせる。自身も昨年でJRAの連続GⅠ制覇が途切れただけに、「久しぶりにGⅠを勝てれば」と、ローズキングダムで勝った10年ジャパンC以来のGⅠ制覇に意欲を燃やす。
「先行して結果を残している馬が多いので、展開が鍵。これ以上は深く言えない」と秘策があることをちらつかせた名手。古豪復活を目指し王者トランセンドにいかに挑むのか、興味は尽きない。
秘策と言っても後ろからでは厳しいでしょうから、何が何でもハナになるのではないでしょうか。前走を見ているとそう思いますが。
馬名 | 予定騎手 | 斤量 | 前走 | 前走着順 | 前走人気 | 過去着順 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トランセンド | 藤田伸二 | 57.0 | 12/04 JCD GⅠ | 阪神ダ1800 | 1 | 1 | 2 | 1 | 2 |
エスポワールシチー | 武豊 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 2 | 1 | 3 | 1 | 4 |
グランプリボス | 内田博幸 | 57.0 | 12/17 阪神 GⅡ | 阪神芝1400 | 2 | 5 | 13 | 8 | 8 |
ワンダーアキュート | 和田竜二 | 57.0 | 12/29 東京JpnⅠ | 大井ダ2000 | 2 | 3 | 2 | 4 | 1 |
セイクリムズン | 吉田隼人 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 6 | 3 | 2 | 5 | 2 |
ダノンカモン | 福永祐一 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 5 | 1 | 5 | 2 | 2 |
ナイキマドリード | 戸崎圭太 | 57.0 | 1/11 船橋 OP | 船橋ダ1000 | 1 | 1 | 1 | 8 | 6 |
ヤマニンキングリー | C.デムーロ | 57.0 | 12/29 東京JpnⅠ | 大井ダ2000 | 6 | 2 | 7 | 1 | 4 |
シルクフォーチュン | 藤岡康太 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 1 | 4 | 3 | 9 | 3 |
ライブコンサート | 蛯名正義 | 57.0 | 1/05 金杯 GⅢ | 京都芝1600 | 12 | 12 | 10 | 9 | 18 |
テスタマッタ | 岩田康誠 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 3 | 5 | 3 | 12 | 7 |
スマイルジャック | 丸山元気 | 57.0 | 2/05 東京 GⅢ | 東京芝1600 | 16 | 10 | 15 | 11 | 3 |
トウショウカズン | 川田将雅 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 2 | 9 | 1 | 1 | 7 |
タガノロックオン | 田辺裕信 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 10 | 4 | 1 | 4 | 1 |
ケイアイテンジン | 後藤浩輝 | 57.0 | 2/04 すばるOP | 京都ダ1200 | 1 | 4 | 3 | 6 | 1 |
ヒラボクワイルド | 幸英明 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 12 | 2 | 1 | 5 | 7 |
エベレストオー | 三浦皇成 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 止 | 16 | 8 | 1 | 4 |
馬名 | 予定騎手 | 斤量 | 前走 | 前走着順 | 前走人気 | 過去着順 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トランセンド | 藤田伸二 | 57.0 | 12/04 JCD GⅠ | 阪神ダ1800 | 1 | 1 | 2 | 1 | 2 |
エスポワールシチー | 武豊 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 2 | 1 | 3 | 1 | 4 |
グランプリボス | 内田博幸 | 57.0 | 12/17 阪神 GⅡ | 阪神芝1400 | 2 | 5 | 13 | 8 | 8 |
ワンダーアキュート | 和田竜二 | 57.0 | 12/29 東京JpnⅠ | 大井ダ2000 | 2 | 3 | 2 | 4 | 1 |
セイクリムズン | 吉田隼人 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 6 | 3 | 2 | 5 | 2 |
ダノンカモン | 福永祐一 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 5 | 1 | 5 | 2 | 2 |
ナイキマドリード | 戸崎圭太 | 57.0 | 1/11 船橋 OP | 船橋ダ1000 | 1 | 1 | 1 | 8 | 6 |
ヤマニンキングリー | C.デムーロ | 57.0 | 12/29 東京JpnⅠ | 大井ダ2000 | 6 | 2 | 7 | 1 | 4 |
シルクフォーチュン | 藤岡康太 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 1 | 4 | 3 | 9 | 3 |
ライブコンサート | 蛯名正義 | 57.0 | 1/05 金杯 GⅢ | 京都芝1600 | 12 | 12 | 10 | 9 | 18 |
テスタマッタ | 岩田康誠 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 3 | 5 | 3 | 12 | 7 |
スマイルジャック | 丸山元気 | 57.0 | 2/05 東京 GⅢ | 東京芝1600 | 16 | 10 | 15 | 11 | 3 |
トウショウカズン | 川田将雅 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 2 | 9 | 1 | 1 | 7 |
タガノロックオン | 田辺裕信 | 57.0 | 1/22 平安 GⅢ | 京都ダ1800 | 10 | 4 | 1 | 4 | 1 |
ケイアイテンジン | 後藤浩輝 | 57.0 | 2/04 すばるOP | 京都ダ1200 | 1 | 4 | 3 | 6 | 1 |
ヒラボクワイルド | 幸英明 | 57.0 | 1/29 根岸 GⅢ | 東京ダ1400 | 12 | 2 | 1 | 5 | 7 |
騎手の太字は乗り替わり
東京ダ1600mは、東京芝2000mと同様にしばし物議を醸すコース設定。03年にコース新装が行われたが、前者はその状況が是正されなかった。
いまだに抱える欠陥要因は、スタート地点。2コーナー奥の芝部分からスタートすることになるのだが、脚をすべらせてダッシュがつかないことがある。
また、内枠と外枠とでは芝を走る距離が違うが、あるトップジョッキーの話だと、その点はあまり関係ない(騎手は気にしていない)ようだ。
むしろスタート地点そのものに問題があり、芝が得意でない馬にとっては不安材料なのだ。
まずはスタートで好発をできるかが勝負の分かれ目。出遅れたらほぼ終わり。致命傷になる。
ダート戦なので基本的には逃げ・先行が有利だが、1300mや1400mに比べて数字はガクンと落ちる。
中団からの差し馬も互角で、最後は決め手勝負になる。
有利な枠順 フラット 有利な脚質 先行~差し ポイント スタート、決め手 種牡馬ベスト サンデーサイレンス、ジェイドロバリー、フジキセキ 連対騎手ベスト 武豊、横山典弘、蛯名正義、柴田善臣、後藤浩輝 推定勝ちタイム 良馬場 稍重馬場 重馬場 不良馬場 2歳新馬 1分41秒1 1分40秒2 1分40秒9 2歳未勝利 1分40秒3 1分40秒4 1分39秒2 1分39秒9 2歳500万 1分38秒6 1分41秒5 3歳新馬 1分41秒1 1分42秒4 1分40秒4 1分40秒1 3歳未勝利 1分40秒2 1分39秒7 1分39秒6 1分39秒6 3歳500万 1分38秒9 1分38秒1 1分38秒1 1分37秒6 3歳オープン 1分37秒0 1分38秒9 1分36秒7 古馬500万 1分38秒9 1分38秒5 1分38秒1 1分38秒3 古馬1000万 1分37秒8 1分37秒4 1秒37秒3 1分37秒5 古馬1600万 1分36秒7 1分36秒5 1分37秒4 1分36秒0 古馬オープン 1分35秒8 1分35秒6 1分35秒3
JRA-HP
出走馬情報
JRAのダート重賞競走では一番古い歴史を持つ『フェブラリーS』は、1997年にGI レースに格上げされ今日に至っている。また、近年は3月下旬にUAEで行われるドバイ国際招待競走へのステップレースとしても重要な位置を占めるようになった。昨年の優勝馬トランセンドは次走で国際G1・ドバイワールドカップ(メイダン・オールウェザー2000m)に挑戦し、優勝馬ヴィクトワールピサから半馬身差の2着に好走。見事、日本馬の上位独占劇を演じた。今年もダート巧者が早春の府中にズラリと集結。ダートの王者に輝き、世界へ羽ばたくのはどの馬か? 国内は勿論、海外からも大きな注目を集める激戦を見逃せない。
昨年は、フェブラリーS、JpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯(東京・ダート1600mで開催)、ジャパンカップダートを優勝、ドバイワールドカップで2着に大健闘し、JpnI・JBCクラシック(大井・ダート2000m)でも2着と、GI・JpnI を5戦して3勝2着2回の好成績を収め、JRA賞最優秀ダートホースに選出されたトランセンド(牡6・安田隆行)。今年もここを初戦に選び、更なる飛躍を期している。前走のジャパンカップダートでは、エスポワールシチー(3着)を突き放し、2着馬ワンダーアキュートに2馬身差をつける快勝。うまく先手を奪えたことが最大の勝因だが、マークを受ける立場での圧勝はトップホースの貫禄を示すのには十分な内容だった。その後はこのレースを目標に熱心な乗り込みを消化しており、態勢は万全の様子。連覇へ向けて、視界は良好だ。
エスポワールシチー(牡7・安達昭夫)は、2009年、2010年のJRA賞最優秀ダートホースに選出された実績を誇る現役屈指のダート巧者。これまで、ダートのレースでは21戦して12勝を記録。2010年のフェブラリーSでは、2着馬テスタマッタを2馬身半突き放す鮮やかな勝利を収めている。昨年は、JpnIII・名古屋大賞典(名古屋・ダート1900m)、みやこSと重賞2勝をマークしたが、帝王賞(大井・ダート2000m)2着、マイルチャンピオンシップ南部杯4着、ジャパンカップダート3着と、GI・JpnI 制覇は果たせなかった。今季の初戦に選んだ前走の平安Sは58キロの斤量を背負って2着に敗れたが、勝ち馬のヒラボクキングが56キロ、3着馬シルクシュナイダーが55キロであったことを思えば、内容は悪くない。軽快かつパワフルな先行力が戻った今なら、2度目のフェブラリーS制覇で再び頂点に立つことも難しくないだろう。
2009年のシリウスSと武蔵野S、そして昨年の東海S(京都・ダート1900mで開催)と、重賞3勝を誇るワンダーアキュート(牡6・佐藤正雄)。息の長い活躍が目立つ1頭だが、前々走のジャパンカップダートでは、ゴール手前でエスポワールシチーを交わして2着に好走。大幅な地力強化をアピールした。昨年から国際レースとなった前走のGI・東京大賞典(大井・ダート2000m)では、重賞7連勝中の強豪スマートファルコンと大接戦を演じている。長い写真判定の末、ハナ差及ばず2着に敗れたが、内容としては勝ちに等しいもので、ジャパンカップダートの好走が本物であることを証明した。ダート1800m~2000mで全9勝中7勝を挙げているが、今回の東京・ダート1600mでも前述の武蔵野Sを優勝した実績がある。一段と力をつけた今なら、強豪を倒して新たなダートチャンピオンの座に就くシーンも期待できそうだ。
前哨戦の根岸Sを上がり3ハロン34秒9(推定)の末脚で制し、勢いに乗るシルクフォ-チュン(牡6・藤沢則雄)。昨年のプロキオンS(京都・ダート1400mで開催)に次ぐ2度目の重賞制覇となったが、スローペースを鮮やかに差し切り、2着馬トウショウカズンに1馬身半差をつけた内容は見事だった。これまでのレースぶりからも、ベストはダートの1400mと思えるが、東京・ダート1600mで行われた昨秋のJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯で勝ち馬のトランセンドから0秒1差の3着に好走した実績があり、対応は十分に可能だろう。父ゴールドアリュールは、中山・ダート1800mで開催された2003年のフェブラリーSを含む、GI・JpnI 4勝を挙げたダート界の強豪。一段と切れ味に磨きをかけた末脚で、GI 初制覇を目指す。
ダノンカモン(牡6・池江泰寿)は、昨秋のJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯で優勝馬トランセンドと大接戦を演じ、同タイムの2着に好走した実績が光る。まだ重賞のタイトルは獲得していないが、ダートのオープン特別はすでに3勝。やや勝ち味に遅い一面はあるものの、安定感は抜群だ。1番人気に支持された前走の根岸Sでは、本来の素軽いフットワークが見られず5着に敗れたが、勝ち馬のシルクフォーチュンとのタイム差は0秒3。ステップレースとしては、悲観する内容ではなかった。今回は使われての上積みが見込め、東京・ダート1600mでは前述のマイルチャンピオンシップ南部杯および一昨年・昨年の武蔵野Sで2年連続2着の実績があり、適性は十分。悲願の重賞初制覇がGI レースとなるかもしれない。
テスタマッタ(牡6・村山明)は、3歳夏に大井競馬場で行われたJpnI・ジャパンダートダービー(ダート2000m)を優勝。また、2010年のフェブラリーSで勝ち馬のエスポワールシチーから0秒4差の2着に好走している。昨年は阪神・ダート1800mに舞台を移して行われたマーチSで豪快な末脚を繰り出して快勝、暮れのGI・東京大賞典でも3着の実績を残している。折り合い面に課題がある馬で安定感に欠けるが、展開が嵌った際の末脚は一級品だ。前走の根岸Sは、一気の距離短縮にも対応して3着に健闘。今季は体調の良さも目立つだけに、レースの流れにうまく乗って脚を溜めることができれば、身上の豪快な差し脚が炸裂するシーンを見られるかもしれない。
グランプリボス(牡4・矢作芳人)は、一昨年の朝日杯フューチュリティSおよび昨年のNHKマイルCの覇者。芝のGI ホースがダートの強豪を相手にどんな戦いを演じるのか、今年のフェブラリーSの見どころのひとつになっている。昨年6月のイギリス遠征後は本来の姿を取り戻すのにやや時間を要したが、復帰3戦目となった前走の阪神Cでは、勝ち馬からハナ差の2着に好走。GI・2勝馬が復活劇を演じてのダート界進出だけに、魅力は大きい。母ロージーミストは、阪神・ダート1200mで行われたデビュー2戦目の新馬を逃げ切っており、血統的にダートで更に持ち味が活きる可能性も秘めている。ここで好走できれば、今後の選択肢が大きく増えるだけに、楽しみな一戦となった。
ヤマニンキングリー(牡7・河内洋)は、2008年の中日新聞杯・2009年の札幌記念と、芝の重賞で2勝。名牝ブエナビスタをクビ差の2着に退けた札幌記念は、同馬のベストパフォーマンスと言えるレースで、芝でもGI 級の能力を秘めた1頭である。そして、ダート初挑戦となった昨秋のシリウスSで2着馬を2馬身半突き放す圧勝劇を演じたように、ダートに対する適性も高い馬。ここ2戦はダートのGI に挑戦して、ジャパンカップダート7着、東京大賞典6着と、あとひと息の成績に終わっているが、ダートの強豪メンバーに混じって厳しいレースをした経験を活かし、虎視眈々と上位進出を狙っている。
ヒラボクキング(牡5・大久保龍志)は、前走の平安Sで重賞初制覇を達成。勢いに乗ってのGI 挑戦である。得意の京都コースだったとはいえ、1馬身半差の2着に退けた相手はGI・JpnI 5勝の強豪エスポワールシチー。5歳を迎えて、完全に本格化を遂げたと見ても良いだろう。重賞への出走は今回が3度目で、まだ成長の余地を残しており、先行力もあって自分でレースを作れる点は大きなセールスポイントと言える。左回りコースは昨夏の1000万下・麒麟山特別(新潟・ダート1800m、4着)のみと経験の少ない点が懸念材料だが、新興勢力を代表する存在として注目を集めそうだ。
競馬ブック
短評は「上位拮抗」
予想家の印
二重△は△△で処理
馬名 吉田幹 林茂徳 吉岡哲 CPU ナイキマドリード △ シルクフォーチュン △ △ ▲ △ ヤマニンキングリー △ エスポワールシチー ▲ ▲ △△ 〇 ワンダーアキュート △ 〇 〇 ▲ ダノンカモン ◎ △ △ △△ グランプリボス △△ △ トランセンド 〇 ◎ ◎ ◎ テスタマッタ △△ △ △
あとは無印
スピード指数
馬名 最高値 3走前 2走前 前走 評価 エスポワールシチー 102 99 95 97 トランセンド 100 97 99 97 テスタマッタ 99 91 91 93 ワンダーアキュート 99 99 94 95
デイリー馬三郎
加藤剛史 本紙の見解
「新星不在のダート界。王者トランセンドは他馬との勝負付けが済んでおり、フェブラリーSでは初の連覇に向けて態勢も万全。自分の形に持ち込むことが理想だが、持ち前の持久力を武器に好戦は確実だ。」
◎ トランセンド
○ ワンダーアキュート
▲ ダノンカモン
× エスポワールシチー
以下省略
エスポワールシチーは〇(2番手評価)が4記者、▲(3番手評価)が3記者、×(4番手評価)が6記者で、◎(1番手評価)の記者はおりません><。
1週間前のみどころ
アグネスデジタル、アドマイヤドン、カネヒキリ、ヴァーミリアンなど過去10年で1番人気が8勝。現役最強のダート王がきっちり力を出すレースとして有名で、相手探しの一戦になる傾向が強い。
昨年の最優秀ダートホースに輝いたトランセンドが、今年もドバイWCへ向けてここから始動する。自ら主導権を握って力で押し切るという、まさに横綱相撲の競馬でGⅠ4勝。現役最強ダート王なのは間違いない。昨年のフェブラリーS、南部杯と東京マイルGⅠを2勝しており、死角は全く見当たらない。
エスポワールシチーは一昨年の覇者だが、近2走の走りを見ると当時の勢いはない。それでもずっと差のない競馬を続けており、力の衰えはなさそうだ。今回も好位につけて粘り込みを計る。
テスタマッタは一昨年の2着馬。近2走は東京大賞典3着、根岸S3着と着実に復調気配にある。距離やコースを問わない万能型で、混戦に強いタイプ。中団からきっちり末脚を伸ばすはずだ。
ダノンカモンは勝ちみに遅く、いまだ重賞未勝利だが、同舞台で行われた南部杯ではトランセンドから頭差の2着。20戦連続で掲示板を確保している堅実派で、ここも上位争いに加わる。
シルクフォーチュンはプロキオンS、根岸Sと1400mの重賞を2勝。1F距離が長いが、南部杯では0秒1差の3着に追い込んでいる。展開次第では前走の再現も夢ではない。
あとは、エスポワールシチーを退けて平安Sを制したヒラボクキング、昨年のJCダート2着のワンダーアキュート、シリウスSの勝ちっぷりからも侮れないヤマニンキングリー。
先取り厩舎リポート
トランセンド
1週前なので目いっぱいにやりました。いつもの時計で、いつも通りの動き。順調にきています。ドバイWCに選出されたことは素直にうれしいです。去年は出ることに意義がありましたが、今年は出るからには色気を持って臨みます。<安田師>
エスポワールシチー
さすがやね。すごくバランスのいい走りをする。乗りやすかったし、頭がいいよ。よく調教されている。代打ですけど、いい仕事はしたいと思っている。一緒にレースをしてきたし、強さは分かっているから。<武豊>
ワンダーアキュート
もうひと加速がほしかった。このひと追いでいい感じになれば。<和田>
ヒラボクキング
迫力のある動き。しっかりと反応していました。<藤岡佑>
セイクリムズン
疲れはないし、状態は変わりない。ジョッキー(吉田隼)も2度目になるから。<服部師>
グランプリボス
行きたがっていたが、途中で折り合いがついた。パワーがあるし、ダートが駄目ということはないと思う。<内田博>
テスタマッタ
これで十分。週末と来週にやればちょうどよくなる。<村山師>
トウショウカズン
変わらず元気。最後も脚取りはしっかりしていた。<大久保助手>
ヤマニンキングリー
前と違って、最近は動かない。これでスイッチが入れば。<河内師>
ダノンカモン
相手に頼る面があるので、意識的に単走で。動きは良かった。<池江師>
ライブコンサート
順調。時計も予定通り。<白井師>
スマイルジャック
ダートはまだ試していない。走るのかどうかはやってみないと分からないけど、年齢的にもラストチャンスだろうから。<小桧山師>
1週前追い切りチェック
ヒラボクキング
栗東坂路で4F54秒8―12秒9(G強め)。鞍上の合図に機敏に反応し、楽々と先着を果たした。一度使った分、動きも良くなっており、状態はさらに上向いている。
トランセンド
栗東DPで6F74秒1―11秒3(一杯)。しまい重点に追い切られ、抜群の反応と鋭い伸び脚を披露。攻めは動くタイプとはいえ、それを差し引いても迫力ある動きは目を引いた。
グランプリボス
内田博を背に栗東DPで6F74秒6―11秒6(馬なり)。実戦並みの好時計をマークした。少し行きたがるところは見られたが許容範囲。しまいもしっかりとした伸びで、動きは申し分ない。豪快なフットワークからダートもこなせるはず。
セイクリムズン
栗東坂路で4F51秒8―13秒5(一杯)。馬場を考慮するとこの時計は優秀。ゴール前も力強い伸び脚で、状態の良さをアピールした。いい状態で臨めそうだ。
テスタマッタ
栗東坂路で4F59秒0―14秒1(馬なり)。馬場状態が特に悪い時間帯で時計はかかったが、集中力を切らさなかった点は評価できる。前走以上の状態で臨めそうだ。
タガノロックオン
栗東CWで5F67秒5―13秒4(馬なり)。時計は目立たないが、重たい馬場を苦にせず軽快な動きを披露。馬体も締まり、気配は上向いている。
エスポワールシチー
武豊を背に栗東坂路で4F53秒2―13秒1(馬なり)。回転の利いたスピード感のある走りで、動きは上々。大きな上積みこそ感じないが、力を出せる状態にある。
ワンダーアキュート
栗東CWで6F82秒6―13秒0(一杯)。80秒を切るのが当たり前の馬だが、平凡な時計でラストも脚が上がった。来週の追い切りでどこまで変わるか注目。
ダノンカモン
栗東DPで6F79秒7―11秒2(一杯)。好調時の躍動感溢れる動きと比較すると物足りなさは感じるが、使った分の上積みは感じる。あとは当週の追い切りに注目。
ヤマニンキングリー
栗東CWで6F82秒8―13秒2(一杯)。年齢とともにズブさが出ているが、格下馬に遅れた点は不満。物足りない内容だった。
ライブコンサート
栗東坂路で4F53秒7―13秒7(一杯)。久しぶりに坂路で追い切ったが動きは平凡。年齢的にも大きな上積みは見込めない。
スマイルジャック
丸山を背に美浦南Wで3F45秒3―14秒9(馬なり)。馬体の張りは悪くないが、気合乗りに乏しい。気配はピリッとせず。
メインを斬る 中野秀幸TM
トランセンドは予定通り完璧に仕上げての出走。ひとつ不安点をいえば外枠に回ったことか。ハナを切れない時でも結果は出しているが、ハナに行っている時とではここというところでの反応の仕方が違うように思う。先制が叶わないケースだと若干心配は残る。当然ハナを主張するとは見ているが。
今回が初ダートになるグランプリボス。砂を被った時にどうなのか?嫌がるのか、却って折り合いがつくのか。不安と期待が交錯する。ただ、スピード面で優位に立つ王者トランセンドを負かすとすれば芝でGⅠ勝ちのあるこの馬ではないかと考える。逆転の最有力候補に指名。
マイル戦は3年前の武蔵野S以来というワンダーアキュート。その時は2着以下に2馬身近い差をつける完勝だった。条件的な不足はない。JCダート、東京大賞典ではともに2着だったが、ここにきて更に充実度を高めているといった印象をも受ける。JCDではスタートで躓き落馬寸前の不利もあった。当時の2馬身差は縮められそうだし、ひっくり返す可能性も。
距離が延びて折り合いが鍵になるシルクフォーチュン、この舞台がピッタリのダノンカモンにも嵌まればチャンスが転がり込んでくる。
こちらは栗東データ班
フェブラリーS。昨年の反省を見ると、何とも悩ましい文面があった。
『JCダートが阪神1800mに変わったのは08年。それ以降の勝ち馬がフェブラリーSに向かうと、今回のトランセンドも含めて3、1、1着となる。(中略)今後も、前年のJCダートの勝ち馬が出てきたら、無条件で軸に。』
何が悩ましいのか、素直にトランセンド買えばええやん、という感じだが、その後にこんなことも書いていた。
『「一昨年以前のJCダートの勝ち馬がフェブラリーSに出たらどうなるか」を調べてみたところ、9、7、9、6着と、こうも変わるかというくらいに惨憺たる結果である。トランセンドが来年出てきたら、今度は無視してかかりたい。』
絵に描いたような矛盾です。誰か助けてください。
冷静に過去の傾向を見てみましょうか。JCダートが東京で行われていた2000年当時から、JCダートの勝ち馬のうち、フェブラリーSに複数回出走した馬は5頭。
ウイングアロー
00年JCダート1着
01年フェブラリーS2着
01年JCダート2着
02年フェブラリーS9着
イーグルカフェ
02年JCダート1着
03年フェブラリーS3着
04年フェブラリーS7着
タイムパラドックス
04年JCダート1着
05年フェブラリーS4着
05年JCダート4着
06年フェブラリーS9着
カネヒキリ
05年JCダート1着
06年フェブラリーS1着
08年JCダート1着
09年フェブラリーS3着
ヴァーミリアン
07年JCダート1着
08年フェブラリーS1着
08年JCダート3着
09年フェブラリーS6着
JCダート連覇はトランセンドが初めてなので比較になるかどうか微妙だが、少なくとも、ディフェンディングチャンプとして臨んだJCダートで成績が落ちているので、フェブラリーSでも成績が落ちるのは当然の結果といえる。さて、今回のJCダート制覇経験のある2頭。
エスポワールシチー
09年JCダート1着
10年フェブラリーS1着
11年JCダート3着
12年フェブラリーS?着
トランセンド
10年JCダート1着
11年フェブラリーS1着
11年JCダート1着
12年フェブラリーS?着
JCダートの成績が落ちたエスポワールシチーは、傾向からは馬券にはいらないということは言えそう。一方のトランセンドだが、JCダート2勝のカネヒキリの例を考えると、頭はないというラインはありかも知れない。軸にするのはどんなもんか、と。
では、ということで、昨年、一昨年とうまく拾えた条件を挙げると、まず1~3着馬が満たしていたのは
1.ダートで連対経験
2.重賞勝ち
3.芝、ダートを問わず、1600m以上で勝利経験
4.1年以内に重賞で連対
5.6歳以上馬、もしくは5番人気以下なら
a.1年以内にG1級で3着以内がある
b.根岸S、もしくは平安Sを勝っている
この5点。更に、着順別では、
1.1着馬の条件は、前走3着以内
2.2着馬の条件は、前走5着以内
この計6点となる。これで1着候補として残るのが(3)シルクフォーチュン、(9)エスポワールシチー、(10)ワンダーアキュート、(15)トランセンド、(16)テスタマッタの5頭。2、3着候補には新たな馬が増えず、同じく5頭になる。ここからエスポワールシチーを消し、トランセンドを3着までに抑えると、1、2着候補は4頭、3着候補5頭になる。
昨年使った条件は、1着候補は「東京マイルで連対、もしくは東京ダートで6着以下がない」を満たすこと。02年以降、東京で行われた9回のうち、昨年勝ったトランセンドだけが満たしていなかったのだが、唯一出走した東京で5着とハナ差の6着だったので、ギリギリ目を瞑ってもいいかな、と結論づけた。
上で最終的に残った1着候補5頭のうち、これを満たすのは(10)ワンダーアキュート、(16)テスタマッタの2頭になる。これが頭候補。
2着候補の場合の条件は「東京ダートで連対経験、なければG1連対経験」。02年以降では海外遠征が主だった09年のカジノドライヴだけが例外。これを満たすのが(3)シルクフォーチュン、(10)ワンダーアキュート、(16)テスタマッタの3頭。
3着候補も、「東京ダートで連対経験」が条件のようで、例外は05年のヒシアトラスだけ。残るのは(3)シルクフォーチュン、(10)ワンダーアキュート、(15)トランセンド、(16)テスタマッタの4頭。
結論。
◎(10)ワンダーアキュート
◎(16)テスタマッタ
△(3)シルクフォーチュン
★(15)トランセンド
馬単(10)(16)→(3)(10)(16)@100円、3連複(3)―(10)―(16)@100円で計500円。
資金を抑えるべくここまでだが、この4頭で3連単フォーメーションを組むなら(10)(16)→(3)(10)(16)→(3)(10)(15)(16)で8点になる。結局、トランセンドを前年のJCダート覇者として扱うか、一昨年以前のJCダート覇者として扱うかの違いだけ。素直にトランセンドを軸にするなら、馬連3点でいいんじゃないでしょうかね。
エスポワールシチー(2着)
「馬は一生懸命頑張っています。今日は仕方ありません」(佐藤哲三騎手・ラジオNIKKEI)
「行ければ行こうと思っていたけど、トウショウフリークがテンから行っていたし、外枠から先手を主張したら1分47秒台の競馬になっていただろうからね。でもスタートは良かったし、手応えも良く、あの位置からでも勝てると思っていた。衰えは感じないけど、この時計勝負では結果的に58キロ、外枠の分が響いてしまったかな」(佐藤哲三騎手・競馬ブック)
「馬は一生懸命走っているのでしょうがない。スタートは決まったし、形は悪くなかった。行きっぷりはこれまでにないくらいだったので、この良さを伸ばして、甘さを補っていければ」(佐藤哲三騎手・デイリー馬三郎)
「行ければ行こうと思っていたけど、トウショウフリークがテンから行っていたし、外枠から先手を主張したらもっと速い時計になっていたでしょう。でもスタートは良かったし、手応えもあったので勝てるかと思いましたが、この時計勝負では結果的に斤量と枠が響いてしまったのかもしれません」(佐藤哲三騎手・友駿ホースクラブ公式HP)
「ここまで結構やってきたし、上積みはどうかな」(安達昭夫調教師・スポーツニッポン)
「状態が良くなっていただけに勝ちたいところでしたがレースの流れが厳しいものとなりました。」(安達昭夫調教師・友駿ホースクラブ公式HP)
エスポワールシチー
「前走はプラス6キロ。いくらか余裕があったし、ここ目標に仕上げたので上積みはある。距離短縮とコース変わりで。」(安達昭夫調教師・デイリー馬三郎)
残念ながらトランセンドとの勝負付けは済んだと思います。まず勝てないでしょう。おそらく2番人気になるであろうワンダーアキュートは距離に不安があり、また追い切りの動きも絶好ではなく、終わってみればスマートファルコンにハナ差(3.5cm)に迫った反動が残っていたと言われそうです。
私は2着を期待していますが、平安Sでも2着だったように、衰えは否めず、もっと負ける可能性も少なくはありません。
願望は2着ですが、やはり専門誌の印も3、4番手が多いように、そのくらいに納まるのでしょうね。東京ダート1600mは得意舞台とは行っても昨年の南部杯は4着でしたからね。その再現VTRのようになるかも知れません。
まさか勝っちゃえばそりゃ、1口馬主史上もっとも感動のレースになるでしょうが、トランセンドが取りこぼすとは考えづらく、その場合でもエスポにではなく、ワンダーアキュートにでしょう。
トランセンドが好スタートを切りますが、二の脚がつかずズルズルと後退。エスポワールシチーは出はいつものように決して速くはないですが、二の脚が速くアッと言う間にハナに立ちます。しかし内からセイクリムズンが譲らず2番手でダートコースに入ります。
エスポワールシチーは結局ダノンカモンやグランプリボス、そしてトランセンドにも交わされ6番手でレースを進めます。かなり速いペースでレースは流れ、最初の600mは34秒7で通過。これはいくらなんでも飛ばし過ぎです。
直線を向いたところでいつものようにトランセンドが引き離しにかかるのかと思いきやもどかしいほど伸びず、そのすぐ内にいたエスポワールシチーは抜群の手応えでしたが出るところが無く包まれます。
ようやく空いた時にはエスポワールシチーはグイグイと伸びますが、すでにテスタマッタが勢いをつけて抜け出しており、更に前走の平安Sの時のようにすぐ前を捉えることもできず、5着で入線。仕方がないとはいえ、悔いの残るレースとなりました。
今回のエスポワールシチーの走破時計1分36秒0良馬場は、フェブラリーSとしては遅い時計で、例えば2年前にエスポワールシチーが勝った時の走破時計は1分34秒9良馬場でした。テスタマッタは決して強くなったというわけではなく、自分の時計で走っただけです。
包まれて動けなかったとはいえ、エスポワールシチーももう1分34秒台で走る力はなく、しかし、35秒5あたりでは走れるのではないでしょうか。ならばまだまだGⅠでも勝ち負けできますよ。
エスポワールシチー(5着)
「トランセンドが抜け出すのをアテにしていたんだけど、意外にモタついて厳しい形になってしまった。道中は凄くいい感じだったし、砂を被っても大丈夫だったよ。デキは良かったし、競馬に融通性は出たと思うんだけど・・・。あとはもう前が開けば、という感じだっただけに、とにかく悔しいね。」(武豊騎手・競馬ブック)
「トランセンドが抜けるのをアテにしていた。ちょっと考え過ぎたかな。もっと思い切った競馬をすれば良かった。オレの勇気が足りなかった。」(武豊騎手・スポーツニッポン)
「トランセンドが抜けるのをアテにしていたけれど、まさかあそこまでモタモタするとは…。少し考えすぎましたかね。道中もすごくいい感じでしたし、前が空いてくれれば伸びてきたと思うのですが…」(武豊騎手・ラジオNIKKEI)
「前に行った馬が失速している中、踏ん張ってくれました。次走はかしわ記念を目標にします」(安達昭夫調教師・友駿ホースクラブ公式HP)
「先週のフェブラリーSについて2つ感想があって、1つには悔しさが募ったこと。4コーナーを回って目の前にトランセンドがいるんだから正直、シメシメとほくそ笑みたくなるような場面でした。前がスパッと抜け出してくれたらその外を・・・と思い描いたけど、ところがそうはならなかった。意外すぎる展開に違いないけどボクも反省すべき点があって、もっと大胆に攻めればよかった。それともう1つ感じたことはエスポワールシチーはこれだけの実績を残しているので当たり前なんだけど、想像をはるかに超えるほどいい馬だった。自由自在に走れそうで、あれなら7歳とはいえ今後も間違いなく大きなところを狙えると思います。」(武豊騎手・武豊のサタデー物語、スポーツニッポン)
トランセンド(7着)
「あまりに行き脚がなかったです。番手でもと思ったけれど、とにかく進んで行きませんでした。東京マイルはベストではありませんし、ズブくなっているとは思っていたけれど、この後、色々と考えて工夫をしていかないといけませんね。」(藤田伸二騎手・競馬ブック)
エスポワールシチー(5着)
「馬場に先出し。中団馬群で手応え抜群。直線で幾らかゴチャついたが、バラけてからは最後まで渋太い伸び脚を示した。年齢的な衰えは感じさせず、今後の活躍も楽しみだ。」(競馬ブック)
フェブラリーSの方はHペースで、典型的な追い込み決着。前半3ハロン34秒7は近年の良馬場では最も速く、上がりも36秒7と、それなりにかかった。南部杯の前半5ハロンは57秒8だったが、10月と2月では馬場の質そのものが違うから、トランセンドの敗因を分析するにあたっては、昨年のフェブラリーSと比較するべきだろう。昨年は60秒1で、今年は58秒7。少々ペースが速くても、ハナを切れれば逃げ馬は渋太いものだが、それ以前に今日は追い通しで、まったく前向きさに欠けていた。
テスタマッタは大外枠で折り合いが最大のポイントだったが、ライブコンサートの後に収まったのが幸い。根岸Sと同じ轍を踏むことはなく、見事に弾けた。追い込んで2馬身差は強い。シルクフォーチュンはおそらく、マイルだとこれが上がりのMAX。位置取りの差ではなく、着差的にも完敗だ。ワンダーアキュートが3着に頑張り、東京大賞典の好時計の価値が浮き彫りにされたことで、スマートファルコンが最強馬であることが客観的にも証明された。(吉岡哲哉 重賞回顧・競馬ブック)
フェブラリーSはトランセンドが万全とも思える態勢。ただ、実績は認めても、よくよく考えれば“これは強い”と唸らされたレースは少ないように思う。昨年のこのレースは楽なペースでの勝利。厳しいペースで勝ったのは南部杯ぐらいで、その時はブランクが長かったとはいえ、差し返してやっとこさという感じだった。ハナを切って主導権を握った時の方がレースぶりが良く、同型エスポワールシチー、ケイアイテンジンの出方も気になる。南部杯の時のトランセンドのテンの鈍さを見るにつけ、行っても控えても楽な競馬にはならないと判断。そこで◎はグランプリボス。先週のポリトラックでの動きが凄かった。今週の極悪馬場の坂路で相手にアオられてしまい、重い馬場になると動けなかった点がダートに使うにあたっては心配といえば心配だが、パワーがないことはない。週報のフォトパドックを見ても胸前の盛り上がりが凄く、馬体も逞しい。例えばウッドではまるっきり走らなくてもダートの実戦では走るテスタマッタのような例もあり、そこまでは極端ではなくても、同じ坂路でも普段の馬場状態であれば余力を残して51秒台が出るほどだし、ウッドほど重くないダートなら問題なくこなせると判断。それに、全盛期のエスポワールシチーならともかく、マンネリ化した今のダート路線の既成勢力のレベルはそこまで高くないようにも思う。NHKマイルを好時計で圧倒したこの馬の能力を持ってすれば、ダートをこなすと仮定すれば十分通用するだろうと。
さてレース。訝っていた通り、トランセンドは押しまくっても全然行けない。二の脚で何とか好位に取りついたものの、あれだけテンに行けなくては厳しいだろう。エスポワールも無理せず控える形で、ハナを切ったのは意外にもセイクリムズンだった。前半3ハロン通過が34秒7。勝ち時計が1分35秒4だからラップとしては速くないはずだが……。好位でガツンと行きかけるのを我慢させていたグランプリボスともども、先行勢は直線に向くと勢いをなくしてしまった。ワンダーアキュートが抜け出しそうな感じで押し上げてきたが、それも束の間、外から一気に台頭したのがテスタマッタ。気持ち良く差し切ってしまった。2着には更にその後方に位置したシルクフォーチュン。完全に差し、追い込みの競馬。とはいえ、この2馬身差の勝利にはちょっと驚いた。テスタマッタにはこれまで幾度となく◎を打ってきたと思うだけに悔しさもあるが、嵌まったにしても完勝。前走と同様、外枠もあって行きたがっていたが、タメるだけタメて岩田騎手、弾かせた。シルクフォーチュンもなだめて終い勝負。マイルはギリギリ守備範囲ということを示した。トランセンドはテンが芝ということもあろうが、ズブさが出ていることが今後の課題だろう。エスポワールシチーは一昨年にテスタマッタを圧倒していただけに、少し衰えがあると言わざるを得ないか。グランプリボスはガツンと行っていたうえに、先行馬総崩れの展開。情状酌量の余地はあるが、初ダートで通用するほど甘くはなかった。またもや反省の予想である。(西村敬 レース終わってみると!・競馬ブック)
本賞金が940万円、特別出走手当が384000円ですから9784000円の賞金ということで、1口あたりですと、14000円程度になると思われます。これでも未勝利戦2勝分程度の賞金がありますから、本当にありがたいですね。
今回は包まれて動くに動けずの5着でしたが、順調なら2着はあったと思わせるほどの内容で負けてなお強しだったと思います。
結果的にトランセンドの存在に怯え、完全マークという奇襲によって起死回生の一発を狙ったエスポワールシチーの鞍上・武豊騎手でしたが、そのトランセンドが予想外の走りで作戦失敗となりました。
しかし、私でもトランセンドが勝つだろうと思っていましたし、馬券も愛馬エスポよりもトランセンドを頭で買っていました。ですから、アテが外れての作戦失敗は仕方がないですね。仕方がないとわかっていてもGⅠでの包まれて動けずというのは悔しいです。しかし、我が愛馬も他馬が不利を受けて上位に来たこともありますし、同日5着ときっかけを掴んだアルマニャックのように2番人気の有力馬の競走中止で上位を確保できるようなこともあります。
ですから、過ぎたことを言っても仕方がないのですが、やはり悔しいです。
それでも勝てないにせよ、エスポワールシチーがメンバー中まだまだ力上位ということは確信できましたし、まだまだGⅠで3番人気に支持されるほどの馬です。毎走楽しみですし、結構な賞金を持ちかえってくれます。
ついに国内ダートでも5着と掲示板がギリギリになってきましたが、それでも掲示板確保です。7着に敗れたトランセンドの方がよほど深刻でしょう。ヘタをすれば、その後浮上できずに引退になったサクセスブロッケンのようになってしまうかも知れません。
そこに行くとエスポはアメリカ遠征以降の疑惑はありましたが、長く一線級で活躍してくれていて、本当に頭の下がる馬です。
レース1週間後の武豊騎手の手記を上記に掲載しましたが、エスポワールシチーについてあれだけの名馬に跨った騎手から絶賛のお言葉を頂戴しています。これは素直に嬉しいですね。
おそらく次走もお手馬とかち合わない限り騎手サイドから騎乗の打診が来るでしょうが、後悔をされている武豊騎手のコメントを見ると、またエスポでチャレンジして欲しい気持ちもありますね。
ただ、エスポをここまでの馬に育ててくれたのは間違いなく佐藤哲三騎手や安達昭夫調教師をはじめとする陣営の成果です。少し落ち目になったからと言って、そこを切り離す選択肢はあり得ません。最初から違う厩舎だったらとっくに故障で引退していたかも知れません。
ワンダーアキュートが怖いくらい使われていますが、大丈夫なのか心配になります。あんな使い方でGⅠは獲れないと思います。
そこへ行くと、賛否両論あるものの、スマートファルコンの小崎憲調教師の使い方は賛成できますね。私が馬主だったら、なんで賞金の高い中央のGⅠを使わないんだと愚痴も言いたくなるかも知れませんが、馬の状態に合わせてのレース選択であり、長年故障せずにコンスタントに走りしかも結果を残しているわけですから、これは調教師の技術以外のなにものでもありません。
私はエスポワールシチーにとって安達昭夫厩舎に入り、佐藤哲三騎手と出会ったことで今があると思いますし、たまたまですが、良い厩舎に入ってくれたと思います。
まだまだ勝てないまでもダート界では実力上位です。いつまでも無事で頑張って欲しいですね。
頑張れ、エスポワールシチー!!
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